せんだいメディアテークで1月11日(水)より運営協力をしていた『定禅寺パターゴルフ???倶楽部!!』が、2月5日(日)ぶじ終了しました。
今回は、仙台市中心部の屋内にアーティストがつくった空間のなかで、子どもも大人ものびのび遊べる環境をつくるという、これまで経験したことのない取り組みとなりました。手探りの中での開催となりましたが、一緒に運営にあたってくださった関係者のみなさんのご理解・ご協力もあり、自由に過ごせる雰囲気あふれる遊び場をつくることができたのではないかと思います。
『定禅寺パターゴルフ???倶楽部!!』は、自分で「つくりたい!」と思ったクラブをつくったり、他のひとがつくったクラブのうち「使いたい!」と思ったものを借りたりして、アーティストのつくった7つのホールでパターゴルフを楽しむという展覧会でした。子どもたちはこのような設えも楽しみつつ、それにとどまることなく「やりたい!」と感じたさまざま遊びを繰り広げていました。
たとえばこれは、息で吹いてボールを穴に入れる遊びを生み出した子。このホールは扇風機がいつも回っていて、その風でボールが思いがけない方向に転がるコースでした。この子はそれを見て「吹こう」と思ったのかも知れません。
これは何だか強そうなスーツをつくっちゃった子。平日、学校が終わったあとに友だちとずいぶん通ってきた常連さんでした。初めのころはパターゴルフのハイスコアを友だちと競うために通っていたようでしたが、やがて自分のしたいことがのびのびできる場所であることが伝わったのか、まるで自宅のリビングのようにくつろいだり、つくりたいものを色々つくるようになりました。
そんなある日、車いすに乗った大人の方が遊びに来て、車いすに乗ったままでも遊べるパタークラブをつくろうと試行錯誤していたときのことでした。ちょうどそこに居合わせたスーツの子とその友だちが、あれこれアドバイスしてくれたり、手伝ってくれました。「強度に不安が…」と車いすの方がスーツの子に相談すると、「わかった!待ってな!」と柄の中に一回り細い柄をねじ込んでくれました。「でも、ここをもう少し持ちやすくしてもらえると…」と相談すると、「わかった!待ってな!」と段ボールカッターで柄を薄く削いで細くしてくれました。こんなやりとりの結果、やっと使いやすいクラブをつくることができたのでした。
たくさん通って遊び込んで、なかば「ぬし」のようになっていた場所だからこそ、材料の特性や道具の使い方もよく知っていたし、そこに遊びにきて困っている人を親身になって助けようという気持ちにもなったのではないでしょうか。子どもも大人もいつでも気軽に来れる遊び場が、仙台のまちなかに常設されると、こんな風なやりとりも日常的に生まれるんだろうなと思いました。
(三浦めん)